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「棚壁の家」は日本のデンマークとして知られる安城市にあり、現在でも周辺には水田や畑が長閑に広がる地域に計画されました。計画敷地には母が住む母屋が建っており敷地の角地にご長男であるデザイン関係の仕事をしている40代の男性が、将来の家族と住まう為の空間として計画された29坪の小さな離れの住宅です。

第24回 すまいる愛知住宅賞 パネル審査のブログでご紹介しました「55」番の住宅です。

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5つのキーワードによって「棚壁の家」は計画されています。

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1、「ローコスト」
29.4坪の延床面積で総工事費1650万円を実現させるために、下記の工事内容を中心に実践することで大幅なコストダウンを可能にしています。

・基礎の簡略化
通常の基礎は土台を敷く部分をコンクリートで立上げますが、そのようにする為にはコンクリートの打設工事を2回に分けて施工しなければなりません。今回は立上がり部分を設けずに土間スラブに土台を直接敷く納まりを考える事で、コンクリートの打設工事を1回で済ませ、基礎工事のコストを大幅に削減しています。
また掘削する深さも浅くする事で、掘り方工事や残土処理費用も削減しています。

・2×材(ツーバイ材)による構造体と造作材
枠組壁工法で構造体を考えることで、材料費の削減、施工の簡略化をするとともに、構造体である455mm間隔で必要な柱(スタッド)をそのまま内部造作である棚枠としてそのまま利用することを計画。これによって内部の家具工事や造作工事を大幅に削減しています。断熱は外断熱とし、棚壁として外周部の壁が使えるようにしています。また、書籍によっての断熱効果も期待しています。

・プランの簡素化
内部の間仕切壁や建具を必要最小限で計画することで、建材費、大工工事、建具工事の工事費を削減しています。2階はワンルームで計画していますが、将来的に個室に分割したい時は必要に応じて2部屋、もしくは3部屋まで分割できるように、コンセントやスイッチの位置は検討した上で設置しています。家族構成の変化に柔軟に対応できるプランにすることで、今は必要のない工事費も削減できています。

・セルフビルド
外壁に使用した杉板の塗装、内部床フローリングや家具の塗装、日曜大工で出来る造作作業など、出来る範囲の作業を施主本人が行うことで工事費を削減しています。また施主本人も家づくりに参加する事で、今後のメンテナンスの方法も知識として持つことができます。

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2、「構造体と収納棚」
仕事の資料や趣味のための書籍、モノなどが沢山あり、それらのモノをただ隠して収納するのではなく自分の好きなモノを見せながら収納できる空間にしたいという要望から枠組壁工法を応用し、外壁に面する壁に455mm間隔で入っている柱である2×材(ツーバイ材)の柱であるスタッドの奥行きを利用した収納できる「棚壁」をつくり、リビングや書斎では本棚として、キッチン廻りでは食器棚として、寝室や洗面所では衣類収納として、それぞれの場所に応じたモノたちが納まる居場所を用意して、見せながら収納したいという要望を実現させています。

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3、「繋がる土間空間」
建物の中心には吹抜けの玄関土間があり、玄関を入ると4.5帖の土間が出迎えてくれます。その土間を囲むように各スペースが螺旋を描くように連続的に配置されています。昔はどこの農家にもあったような玄関土間は、ちょっとした軽作業をしたり、土や水の付いたものを置いたり、また憩いの場として多目的な用途で利用できる他、空間としても各スペースとの繋がりや開放感を感じることができる建物の核となる部分です。

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4、「凹んだ居場所」
外壁に面する棚壁には何ヶ所か外部に跳ね出された凹みがあり、約700mm跳ね出されたゴロ寝もできるダイニングのベンチスペース、約1400mm跳ね出された高さを抑えた穴ぐらのようなベッドスペース、約500mm跳ね出された景色と風を取り込む掃き出しの出窓、約800mm跳ね出された家事動線に便利な冷蔵庫スペース、といった場所に応じた機能を持つ空間が埋め込まれています。それぞれの場所は、棚壁と混ざり合いながら気持ち良く使い勝手も便利な豊かな居場所をつくり出しています。

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5、「光、風、風景」
開口部については、建物の壁面・天井面の様々な部分に設けていますが、1つ1つを吟味して必要最小限の位置と大きさに抑えて光・風・風景を取り込むための開口部を決定しています。
第一の理由としては施主の要望として「明る過ぎない落着きのある囲まれた空間にしたい」「外周部の壁は出来るだけ多くの棚壁を設けたい」という理由があります。
第二の理由としてはコストと断熱性能です。大きな開口部はコスト増の要因となり、また断熱性能への負荷も大きくなります。
これらの理由により、開口部は決定されていますが、光と風は程よく内部に入り込み、建物の中心部にある土間に立つと、壁面、天井面にある大小さまざまな開口部から光が差し込み、大きな木の下の木漏れ日のような感覚を味わうことができます。東側と南側は田んぼに面している恵まれた環境ですが、大きな開口部は設けず、あえて開口部を抑えることで田園風景をピクチャーウィンドウで切り取り、そこから入ってくる光は柔らかく、より印象的なものになります。

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DATA

設計監理:岩間建築設計事務所 + 西口賢 建築設計事務所
施  工:大誠工務店

建築場所:愛知県安城市
主要用途:専用住宅
構造規模:木造枠組壁工法2階建
敷地面積:873,94㎡
建築面積: 56,92㎡
延床面積: 97,30㎡
竣  工:平成24年5月7日
総工事費:1650万円

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